乾し椎茸の天日干しについて
現在流通している乾し椎茸のほとんどは、熱風乾燥で乾かしてあります。

・熱風乾燥させる訳
乾椎茸は昔から、味と保存性をよくするためほとんどが熱風乾燥して作られています。
1800年頃には既に、焚火または炭火で乾燥するのが当たり前でした。

熱風で乾燥させると、椎茸内部の分解酵素が活発になり旨味成分であるグアニル酸が増えるのです。
その後、少し湿度のある温風で乾燥させることにより風味を保ちながら乾し椎茸を仕上げていきます。

天日干しをすると、低温で乾燥させることになるのでうま味成分ができにくいのです。

・天日干し椎茸の表示
天日干し椎茸として売る場合、最初だけ天日で干してその後乾燥機にかけるか、
乾燥させたあと少し天日に当てたものがほとんどです。

冬の寒い時期などに、農家の人が完全天日干しで自家用の干し椎茸を作る場合がありますが、
干した後は早く食べないと色が黒くなり椎茸自体も石のように硬くなってしまいます。

・完全な天日干しのデメリット。
原木栽培の椎茸は採取直後から腐敗が進み易く、
天日でゆっくり乾燥させたのでは刻々と品質が劣化して、乾燥する前に腐る場合があります。
また、うまみ成分のグアニル酸も60℃以上でないと多く生成されないのです。
通常の保管では、天日干しで生成されたビタミンD2は1カ月で半減すると言われています。


・天日で干すことのメリット。
しかしながら、お店で買ってきた乾し椎茸は、調理する前に1〜2時間日光あてることをおすすめします。
そうすることによってビタミンDの量を増加させることができます。

乾しいたけに含まれるエリゴステロールという成分は、紫外線によってビタミンDに変化します
また、ビタミンDはカルシウムを骨に吸着させる働きを持っています。


・ご家庭での天日干し
傘の裏側のヒダを上に向けて日光に当てます。
1〜2時間ほど必要に応じて、干してください。
湿ったた乾椎茸を乾燥させるときは、カラカラ乾くまで天日干しします。

天日干しした椎茸はなるべく早くお召し上がり下さい。
1ヶ月でビタミンD2は半減します。
しかし、再度天日干しすればまたビタミンD2が生成されます。


・美味しい乾し椎茸の戻し方
乾し椎茸を戻す方法で一番おいしのは、
冷蔵庫で一晩(8時間以上)かけてゆっくり戻すことです。

水温は、5度くらい。

ぬるま湯や砂糖をひとつまみ入れると早く戻りますが、
旨み成分のグアニル酸を破壊してしまう別の酵素も同時に働くため、
低温で戻したときの約12%程度しか旨味は出ません。

グアニル酸は最初から椎茸にあるのではなく、水に戻すとき酵素によって生成されます。
酵素の働きを活発にするには低温で戻し、充分時間をかける事が必要なのです。
ちなみに温度によるグアニル酸は生成料は、
高温戻しが100g中0.5mg/、常温戻しが20mg、低温戻しが160mgという実験結果があります。


・裏技
低温でおいしく早く戻す方法として、椎茸を1時間水に浸けておき、
ある程度柔らかくなったら包丁で適当な大きさに切るか切れ込みを入れ、
また水に戻して30分くらいおくと、約1時間半で戻すことが出来ます。

乾し椎茸は、乾燥のよい冷暗所で保存し
水で戻す前に日光に当て
冷たい水で時間をかけて戻するのがおいしくいただく最良な方法なのです。


また、乾し椎茸を選ぶ時は天日干しかよりも国産で原木栽培かというところをみてお買い求めください。

どんこ椎茸とは
どんことは冬魔ニいう字を書き、冬場にゆっくりと育ったシイタケを乾したもので、
肉厚で丸みがありカサの縁が十分巻き込んでいるものをいいます。
身が締まって弾力があり、しっかりした味と食感が特徴です。

日本産と中国産
日本産の椎茸は、クヌギ・コナラなどの原木が使われ
しいたけ菌を植え込んだ後、自然の中で1年半〜2年間もの年月をかけて栽培されます。

一方、中国産はほとんどが菌床栽培(きんしょう)で、オガくずやトウモロコシのからなどに
フスマや砂糖などの栄養剤を加えて固めた培地に菌を植えて栽培されます。
栽培期間は100〜120日程度です。
促成栽培で安く作ることができ、均一な大きさにできるというメリットはありますが
実が締まっていないので乾し椎茸にするとかなり小さくなってしまうのです。

乾し椎茸の種類
乾しいたけは、一番肉厚ものを「冬茹(どんこ)」次が「香冬や厚肉」少し薄いものを「香信(こうしん)」と呼びます。
もとは同じ椎茸ですが、採る時期や傘の開き具合によって名前が変わります。
冬魔ヘ、椎茸そのものを味わう煮物やおせち料理などに向きプロが好んで使います。
香信は、薄めなので炊き込みご飯や茶わん蒸し・ちらし寿司など香りを楽しむ料理に向きます。

乾し椎茸の栄養
乾しいたけは、他の食品に無いビタミンDや、欠乏しがちな食物繊維、ミネラルが豊富に供給されます。

◆ビタミンDの働き
キノコ類にはビタミンDが含まれていますが、特に乾しいたけには生鮮キノコ類の約9倍のビタミンDが含まれています。これはしいたけに含まれているエリゴステロールと言う成分がビタミンDに変化するためです。
乾しいたけは、炭水化物(糖質と繊維質)とタンパク質が主な成分ですが、カルシウム、鉄分などの無機質やビタミン類なども含まれており、野菜には含まれていないビタミンDを多く含んでいます。ビタミンDは、腸からカルシウムの吸収、骨へのカルシウムの吸着など体内でのカルシウム代謝に大きな役割を果たしています

◆血圧、コレステロール値について
乾しいたけは、血圧やコレステロール値を下げると言われていますが、他のきのこ類にはないエリタデニンという特有の成分が含まれているからです。
エリタデニンは血液中における悪玉コレステロール値(LDL)を下げ、善玉コレステロール値(HDL)を高め、総コレステロール値を下げる働きをします。
血圧が気になる方は、就寝前に乾しいたけを1個水洗いし、100〜150ccの水の入ったコップに入れ、冷蔵庫に朝まで入れておき、起床したらそのしいたけの戻し汁を飲んでみましょう。血圧を下げるのに効果的です。

乾し椎茸の香り
乾しいたけは、レンチオニンという芳香成分により特有の香りがします。
レンチオニンは、乾燥過程や水戻し中に酵素の作用などにより、しいたけに含まれているレンチオニン酸から生成されます。この芳香成分は、高い温度よりも低い温度で水戻しをした方がより多く、また調理の段階においても生成されますが、30分以上煮るとせっかくの芳香成分のほとんどが分解拡散してしまいます。
したがって、香り高い美味しいしいたけを味わうためのポイントは「水戻しは低い温度」「調理は短時間」で行うことがコツです。

乾し椎茸の保存と賞味期限
1年間密閉した状態であればもちろん、開封後は乾しいたけの保存にあたっての大敵は湿気です。
密封容器に入れて冷蔵庫のような暗冷室で保存するのが良いでしょう。
保存性に優れた乾しいたけですが、油断をしていると、アミノ酸と糖質が反応して色がつき、香りも悪くなってしまいます。

松作商店のおいしい乾し椎茸はこちら